ブドウ糖とがん細胞の関係性
ブドウ糖とがん細胞の関係性
2020.04.20

がん患った方やがんについて調べている中で、ブドウ糖の摂取を減らすことでがんの進行を遅らせられる、またはがんの治療になるといった話を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ブドウ糖を減らすとがんが治るといった事実は実際にあるのでしょうか。また、なぜそのようなことが言われるようになったのでしょうか。
今回はブドウ糖とがん細胞の関係性についてお伝えしていきます。

ブドウ糖とがん細胞の進行には関係がある?

がん細胞は、通常の細胞よりも3~8倍ものブドウ糖(糖分)を消費するということが分かっており、がん細胞が糖分を好む事からブドウ糖を取り入れるとがんが進行すると言われています。

ですが、ブドウ糖を摂取することによりがんが進行するということや、ブドウ糖の摂取をやめた事でがんが縮小したり消滅したりしたことを示した明確な研究結果はありません。
ですので、過剰に反応しなければならないということはないのです。

なぜがんになったらブドウ糖の摂取を減らすと良いと言われるようになった?

これには2つの解釈があります。
1つ目はPET検査のようにがん細胞がブドウ糖を取り込む性質を利用した検査があることからそう解釈する人がでたと言われています。

PET検査とは全身の細胞の中で、がん細胞にだけ目印をつけることができる検査です。
がん細胞は通常の健康な細胞に比べて3~8倍ものブドウ糖を消費すると言われており、その性質を利用し、身体にブドウ糖に近い成分を注射してPET(陽電子放射断層撮影)で撮影し、ブドウ糖が多く集まる場所が分かる事から、がんを発見する手がかりとしています。

がん細胞=ブドウ糖が好き=ブドウ糖を取らなければがんはなくなる!となったのではないかと言われています。

もう1つは動物実験での結果を元に言われています。マウスなどの動物実験では低糖質食にすることで、がんに対して良い効果をもたらしている結果を示しているものが少なからずあります。

ですが、まだまだ科学的根拠が少なく人にも当てはまるのかが不明確ですので、ブドウ糖を減らした食事ががん細胞に効果があるとは確実に言えないのです。

以上のことからブドウ糖の摂取を減らすことによってがん細胞の進行を遅らせられると言われているのではないのでしょうか。

ブドウ糖は身体にとって『必要なもの』

がん細胞はエネルギー源として最もブドウ糖を好みますが、実は脂肪やタンパク質だけといった環境でも問題なく活動することが出来ます。

ブドウ糖を摂取せずに食事から排除してがん細胞を飢えさせたとしても、他の健康な細胞にも栄養が行き渡らなくなるため、健康な細胞も同時に飢えてしまいます。

がん治療で行う手術療法・化学(薬物)療法・放射線療法は、体力もかなり使いますし、特にがんの治療は治療自体が食欲不振や吐き気、消化吸収機能の低下等の症状も出るため、エネルギーの摂取量がどうしても減ってしまいます。

命がけで病気と闘っている際にエネルギーが枯渇しているというのは筋肉がなくなり衰弱をもたらすといった良くない結果を招く事から、ブドウ糖、糖質を減らす事はむやみやたらにやってはいけないと言えます。

がん治療時によく目にするケトン食療法とは?

ブドウ糖を減らす食事療法に「ケトン食療法」というものがあります。これは、摂取カロリーの60%~90%を脂肪で摂取する食事療法の一種で、糖質や炭水化物の摂取を可能な限り減らす事によって体内の糖が枯渇するため、身体が脂肪をエネルギーとして利用します。

その際に発生するケトン体を用いた食事療法です。
極端な糖質カットになりますので、適正体重に戻すという意味では実践してみても良いのですが、ケトン食を実施するのが危険な方もいますので、必ず担当医に相談をして行うようにしましょう。

大切なのはバランスと相談

ブドウ糖を摂取するとがん細胞が進行する、減らすとがんが良くなる、ということは現段階では確立されていません。ブドウ糖だけでなくある食事や栄養素を極端に減らしたり増やしたりすることでがんが治るということも明確な結果はないのです。

そのため、むやみやたらにブドウ糖を減らしたり特定の食事を取ったりするという事はやめておきましょう。

ですが、食事ががん治療を補助することはありえます。一番大事なことは上にも書きましたが、バランスの良い食事を取り、極端に摂取カロリーを減らさない、ということです。

がん治療にはエネルギーが必要ですので、エネルギーはしっかりと取るようにしましょう。がん治療中の食事が不安であったり疑問を感じていたりする場合には、ぜひ管理栄養士がいるような専門の病院で相談してみると良いでしょう。