がん治療とコロナワクチンの接種の関係性
がん治療とコロナワクチンの接種の関係性
2021.08.12

現代の日本では2人に1人が一生のうち一度はがんになり、3人に1人が、がんで死亡すると言われています。それほど日本人にとってがんは身近な病気になっているのです。

現在、新型コロナウイルス(以下、コロナウイルス)が流行していますが、がん治療中にコロナウイルスワクチン(以下、ワクチン)を接種してよいのか悩んでいる方もいらっしゃるかと思います。

今回はがん治療とワクチンの接種の関係性についてお伝えしていきます。

がん治療中にワクチンを接種してよいのか?

がん治療中の方も、がん治療の経過観察中の方もワクチンを接種して問題ありません。他の方と同じように安全に受けることができます。

むしろ、がんはコロナウイルスの重症化や死亡のリスクの一つに挙げられており、治療中のがん患者は「基礎疾患を有する者」として高齢者へのワクチン接種に続き、優先的に接種するべきグループとされています。

がん治療の影響で免疫が低下している状態では期待するワクチンの効果がしっかりと得られない可能性もあると言われています。しかし、現時点でワクチンを接種するメリットは、接種をした際の副反応や接種しない場合の感染・重症化のデメリットを上回ると考えられています。

がん治療中や経過観察中のワクチン接種のタイミングとは?

まずは、自治体の案内に従いワクチン接種の予約を確保し、ワクチン接種の日程が決まったら主治医に必ず伝えてください。

がん治療とワクチンの接種のタイミングを調整する必要があります。具体的には下記の理由です。

抗がん剤治療中の方

抗がん剤治療中のワクチン接種について、どのタイミングが最適なのかというデータはまだありません。しかし、ワクチン接種後の副反応によって発熱した場合に、抗がん剤による発熱(薬剤熱)なのか、白血球が減少する時期に起きた感染症による発熱(発熱性好中球減少症)なのかと区別する必要があります。

抗がん剤治療中の場合、ワクチン接種の日程と抗がん剤投与の日程を調整する必要があります。具体的には、ワクチン接種と下記治療の日程が重ならないようにします。

・白血球減少が予想される数日前(発熱性好中球減少症と区別、ワクチン効果低下の可能性を考慮)
・抗がん剤投与前後数日以内(薬剤熱と区別)

放射線治療中の方

いつワクチンを接種しても構いませんが、副反応のために放射線治療を休止するデメリットを考慮し、可能であれば放射線の照射後にワクチンを接種すると良いでしょう。

手術・検査を控えている方

ワクチン接種のタイミングを調整が必要です。ワクチンを接種したことで、がん治療の手術が延期になることがないようにしなければなりません。

ワクチン接種後の副反応で発熱した場合、手術に関連するものと区別する必要があるため、ワクチン接種は手術日から数日以上空けるのが望ましいとされています。
病院によっては手術が延期になったりする場合もありますので、必ず主治医に相談した後、ワクチンを接種してください。

ホルモン療法中の方

ホルモン療法のみの場合にはいつワクチンを接種しても構わないと言われています。分子標的薬を一緒に内服している場合は薬によって対応が異なるので、主治医に相談してください。

経過観察中の方

基本的には既にがんの治療が一段落して現在経過観察のみというような場合ですと、ワクチン接種の判断に主治医のコメントは必ずしも必要ありません。
ですが、ワクチン接種時の予診票に治療中の病気について記載する箇所があり、予診医から主治医に相談したか聞かれることがあります。心配でしたら主治医に相談し接種するようにしてください。

治療も経過観察も終了している方

治療も通院もしていない方はワクチンを接種する際に主治医師に相談する必要はありません。

1回目のワクチン接種後に入院になってしまった場合には?

基本的に入院になってしまった場合には、外泊・外出をしてワクチン接種を行うことはできません。よって退院後に可能な範囲で速やかに2回目の接種を行うようにしてください。

国の推奨でも、2回目が予定の接種日程(ファイザー社製のワクチンであれば1回目の3週間後、モデルナ社製のワクチンであれば1回目の4週間後)よりも遅れた場合には、なるべく早くに接種するようにとされています。

2回目のワクチン接種が遅れる場合にどの程度までなら遅れても問題ないのかはまだあまりはっきりしていません。ですが、これまでのワクチン接種の長い歴史から得られた知見から、2回目の接種が遅れることでワクチンの効果が極端に下がってしまったり、効果がなくなったりする可能性は低いだろうと考えられています。

まとめ

がん治療中や経過観察中でもワクチンは接種したほうがよいということが分かりました。

ワクチン接種については主治医と必ず相談し、接種する場合には接種のタイミングや接種後の過ごし方などの注意を受けた上で接種をしてください。