がん光免疫療法について
がん光免疫療法について
2020.09.23

がん光免疫療法は、がんの治療法としては新しい治療法となっており、注目されている治療法です。まだ実用化はされていませんが、手術や放射線治療、抗がん剤、がん免疫薬に続く第5の治療法になるのではないかとも言われています。

日本で治験が開始されたのも2018年4月と最近なことから、知らない方も多いのでは無いでしょうか。
今回はがん光免疫療法とはどんな治療法なのか、またメリットデメリットについてお伝えしていきます。

がん光免疫療法とは?

がん光免疫療法とは、がん細胞に発生しているタンパク質と結合する抗体に光感受性物質の薬剤を静脈に注射し、非熱性の赤色光を照射することで、病気によって変わったがん細胞を破壊するという治療法です。

さらに、がん光免疫療法では破壊されたがん細胞が免疫細胞に対する抗原となるため、免疫細胞が残ったがん細胞に対してさらに攻撃するという効果も期待できます。

がん光免疫療法のメリットとは?

がん光免疫療法のメリットはがん細胞だけを効率よく破壊できる点です。
手術では、がん細胞の周囲の免疫細胞や健康な細胞ごとがん細胞を取り出さなければなりませんし、放射線治療でもがん細胞にのみ放射線を照射することは難しく、がん細胞に集まった免疫細胞にも合わせて攻撃し影響を及ぼしてしまいます。

一方でがん光免疫療法では、光感受性物質を加えられた抗体が、がん細胞と結合します。そこに非熱性赤色光を照射し非熱性赤色光と光感受性物質が反応をすることで、がん細胞を破壊します。

光感受性物質は、非熱性赤色光にのみ反応するようになっているため、薬剤と結合していない健康な細胞や非熱性赤色光が当たらない細胞は破壊されません。よって、がん光免疫療法は、がん細胞に集まってきている免疫細胞や周囲への健康な細胞への影響が少ないのです。

また、光を当てて破壊されたがん細胞の破片が質の良い抗原へ変化するため、がん光免疫療法を行うことで、免疫細胞は効率よくがん細胞を攻撃することができるようになるのです。

がん光免疫療法のデメリットとは?

がん光免疫療法のデメリットは、がん光免疫療法によって治療できる部位が限られてしまう可能性があるという点です。非熱性の赤色光を照射することによって治療しますので、光が届かない場合には治療ができません。

ですが、研究でどの部位にも非熱性赤色光が届くように進められているため、実用化される頃にはこのデメリットも無くなっているかもしれません。

がん光免疫療法の不安点とは?

がん光免疫療法の不安点としては免疫抑制が起こると効果的に働かなくなる可能性がある点です。

がん光免疫療法により、がん細胞を攻撃する免疫細胞が体内で作られても、免疫抑制が起こってしまうと、免疫細胞による攻撃が効果的に働かなくなる可能性もあります。

現在、免疫チェックポイント阻害薬というものを併用できる薬の開発も行われていますが、併用した際の臨床試験までは行われていないため、まだ確実な効果や安全性は確認されていません。

がん光免疫療法の実用化に関して

がん光免疫療法自体は臨床試験が行われていますが、まだ世界でも実用化はされていません。

日本では、2018年の4月に国立がん研究センター東病院で頭頸(とうけい)部がん(頭頸部領域に発生する悪性腫瘍の総称。

ここでいう頭頸部とは、頭蓋底から鎖骨上までの範囲に相当し、鼻副鼻腔・口腔・咽頭・喉頭・唾液腺・甲状腺・聴器など様々な部位が含まれる)に対しての治験が開始され、2019年にはアメリカの臨床腫瘍学会での臨床試験の結果が発表され有効性、安全性ともに良い結果が報告されています。

最近ですと、2020年6月29日に楽天グループの楽天メディカル(アメリカ:カルフォルニア州)が、がん光免疫療法に使用する新薬について厚生労働省に「条件付き早期承認制度」の申請をしたと発表されています。

がん光免疫療法の医薬品の承認申請は世界発となっており、認められれば年内にも再発した頭頸(とうけい)部がん向けに実用化される可能性があります。

この新薬は別の迅速審査制度の対象にもなっていることから、6ヶ月程度で国が承認してくれるか判断します。早ければ年内にも承認が降りる可能性があるのです。

まとめ

がん光免疫療法はまだまだ研究、試験段階の治療法です。

ですが、がん光免疫療法が実用化されればがん細胞だけを効率よく破壊でき、さらに破壊されたがん細胞が免疫細胞に対する抗原となるため、
免疫細胞が残ったがん細胞に対してさらに攻撃するという効果も期待できる画期的な治療法となります。

今後もがん光免疫療についての新しい情報をチェックしてみてください。