がんゲノム医療について
がんゲノム医療について
2020.09.30

がんゲノム医療という言葉をご存知でしょうか。
外科手術、放射線治療、抗がん剤などは一般的にもよく知られている治療法ですが、このがんゲノム医療という治療法を知る人は多くないかと思います。

ですが、2019年より保険診療の適用にも入っていて、従来のがん治療と掛け合わせることで最適な治療につながると取り入れ始められています。

今回はこのがんゲノム医療について、仕組みやメリット、どうやって受ける事が出来るのか等解説していきます。

がんゲノム医療とは

そもそもがんゲノム医療とはなんなのか、まずはそこから見ていきたいと思います。

○ゲノム医療って?

まずゲノムというのは、遺伝子を意味する‘gene’と、すべてを意味する‘-ome’を組み合わせて作られた造語になります。
生物は細胞の核の中に、このゲノムを持っており、DNAのすべての遺伝情報のことを指します。

ゲノムはその体を作る設計図のようなものなので、一人ひとり異なってきます。ゲノム医療とは個々人ごとに異なった遺伝子情報を調べることでそれぞれの体質や特徴に合わせた治療を行います。

○がんゲノム医療

がんゲノム医療は、がんの細胞を用いてその遺伝子情報を検査します。そもそもがんというものは、遺伝子に異常をきたした細胞が原因で起こります。この遺伝子に生じた異常を調べることで、がんそのものの特定や効果が見込める薬物治療の選定の補助に活用できるのです。

こういった、個人に合わせた治療法を選択することは個別化治療と言われ、このがんゲノム医療もその一つだと言われています。
ちなみに、がんゲノム治療は、多数の遺伝子情報を同時に検査するものを指し、特定、またはいくつか程度でのがん遺伝子検査は含まれないのでご注意ください。

検査について

○がん遺伝子パネル検査

がん遺伝子検査には、‘がん遺伝子パネル検査’という手法を用いられます。
がん遺伝子パネル検査では、採取したがん細胞を次世代シークセンサーと言う解析装置を使って、一度に大量に検査することが出来ます。

100種類以上の遺伝子情報を一度に検査し、そこで見つかった遺伝子変異の情報をもとに最適な治療薬選択していきます。
また、がんゲノム医療は、このがん遺伝子検査の結果に合わせて、患者それぞれの健康状態や治療状況を踏まえ総合的に治療方針を判断していきます。

○実施できる施設はどこ?

このがん遺伝子パネル検査は全国どこの医療家期間でも、というわけにはいきません。
厚生労働省が指定した医療機関に限られています。

がん遺伝子パネル検査を受けられる病院は主に3種類に分類され、がんゲノム医療中核拠点病院、がんゲノム医療拠点病院、それら2つと協力して行っていくがんゲノム医療連携病院に分けられます。

がんゲノム医療中核拠点病院が全国12か所、がんゲノム医療拠点病院が33カ所、がんゲノム医療連携病院が161カ所となります。

○費用は?

がん遺伝子パネル検査では2019年6月に保険適用となっています。
「NCCオンコパネルシステム」「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」という2種類のがん遺伝子パネル検査がそれに当たります。

検査のみの医療費は保険診療とした場合、56万円になります。そのため、患者負担はその年齢に応じた負担額が課され、70歳未満の方だと3割負担になるので、16万8000円が負担額になります。

自由診療でも受けることは出来ますが、自費負担になるため金額も上がり、約90万円ほどになってきます。

メリットとデメリット

もちろんがんゲノム治療にも、そのメリット・デメリットがあります。
後悔ない治療を進めていくためにしっかりと把握していきましょう。

○メリット

・がんの特性がわかる
上記にもありましたが、検査することで自身のがん細胞に生じた遺伝子異常を知ることが出来ます。

・治療薬の情報をより得ることが出来る
遺伝子検査の結果をもとに、治療薬の情報を得ることが出来ます。治療効果が期待される治療薬や、臨床試験中の治療薬まで広く治療薬に関する情報を仕入れることが出来ます。

○デメリット

・検査の結果、遺伝子変異が見つからない場合がある
遺伝子検査を行ったとしても、絶対に遺伝子変異が分かるわけではありません。約半数の人が検査を行っても、遺伝子変異、その治療薬が見つかりません。

・治療薬が見つかっても、全員が受けられるわけではない
検査の結果、遺伝子変異に適した治療薬がわかる方は半数いると言われています。ただし、その治療薬が保険適用外で高額であるなど、様々な理由で治療を行うことが出来ない方も多いです。
実際に治療につながった人は全体の10~20%ほどと言われています。

終わりに

個人化治療として自身にあった治療法を見つけることができるがんゲノム治療ですが、その結果を保証できるものではありません。

誰でも受けることが出来る治療ではなく、場合によっては高額な治療費用も発生します。

それぞれのご状況に合った治療を選択するために、家族や主治医と相談の上、考えてみてはいかがでしょうか。